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真皮と皮下組織【肌の本体ともいえる線維構造と皮下脂肪】

真皮と皮下組織
目次

真皮の構造 ~おもにコラーゲンでできた丈夫な線維構造~

真皮の70%はコラーゲン線維(膠原線維)と言われるタンパク質の線維でできています。コラーゲンが網目状の構造を作成し、エラスチン線維(弾性線維)がところどころでつなぎ止めて、肌の弾力を維持しています。
エラスチン線維は真皮の1~2%しか存在しないにも関わらず、肌の弾力性には重大な関わりをもっていて、老化でこれが少なくなると、シワやたるみをもたらします。
これらの線維の周辺を埋め尽くすように、ヒアルロン酸を代表とするゲル状物質が存在し、基質と呼ばれます。これに関しても老化で少なくなるため、真皮は薄くなってシワが生じます。

タンパク質とは

アミノ酸という低分子物質がいくつか結合してペプチドとなり、さらに長くつながってタンパク質となります。
タンパク質は、熱を加えられると化学構造が変化します(熱変性といいます。従って肉を焼くと硬くなります。火傷もタンパク質の熱変性です)。
また、タンパク質は酸でもアルカりであっても溶けます(そういう理由で、硫酸などといった強酸がかかると皮膚が溶けるのです)。

コラーゲン線維(膠原線維)

ボイルすると膠(ゼラチン質のこと)を生じると言う事から、膠原線維と呼ばれています。タンパク質の微細な線維が束となって作りあげられたもので、縦には伸びにくい、強靭な線維です。分子メカニズムの違いから約20種類のコラーゲン線維があるということが確認されています。真皮にあるのは大部分がI型コラーゲンで、血管周辺にはⅢ型が存在します。よく、軟骨はコラーゲン豊富で肌によいと言われていますが、軟骨のコラーゲンはⅡ型で、皮膚と異なるタイプです。

コラーゲン線維は、線維芽細胞という細胞によって生み出され、一方で酵素の影響を受けて分解されます。要するに、生産と分解に基づいてゆるやかに代謝活動しているのですが、そのスピードはとてもゆるやかで、真皮全部が生まれ変わるのに2~6年かかると考えられています。コラーゲンが生み出される量は年齢にしたがって低下し、40代の後半くらい以降は限りなく0に近くなってしまいます。

エラスチン線維(弾性線維)

ゴムと同じ様な弾力に富む線維で、コラーゲンと同時に真皮に存在していて、中でも頭皮や顔の真皮においては多く存在しています。また、皮膚だけに限らず、腿(筋肉を骨に結びつける部分)といった伸び縮みする部位にも豊富に存在しています。コラーゲンと同じく、線維芽細胞から生み出されます。

美容の世界においてはコラーゲンばかりが重要視される傾向にありますが、皮膚の弾力感にとってはエラスチンのほうが重要であることが、近年いわれはじめています。コラーゲンとエラスチンが相互にネットワークを形成して、皮脂のハリのある感じを生み出しているわけです。真皮を鉄筋コンクリートの建物にたとえると、鉄骨がコラーゲン、それをところどころで留めているボルトやネジがエラスチン、まわりのセメントが基質(ヒアルロン酸など)です。ボルトやネジは、重さから言えば少ないですが、それらがゆるむと全体の骨格がくずれるのです。
エラスチンは、老化にしたがって弾力を失くし、そのことが肌のたるみに結びつきます。

真皮に存在するそのほかの組織

基質(マトリックス)

コラーゲンと工ラスチンの骨格の間を埋め尽くす、ゲル状物質を基質またはマトリックスと呼んでいます。おもに次にあげる成分で構成されています。

糖タンパク

コラーゲンや工ラスチンと結び付いて線維を安定化。水分保持にも貢献しています。

プロテオグリカン

軸タンパクにむこ多糖が数多く結合した巨大分子。ムコ多糖の一種がヒアルロン酸で、水を抱え込み、真皮の水分保持にとても大事なものになります。ムコ多糖も線維芽細胞から生み出されます。線維芽細胞の活動が老化で活発でなくなると、コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸のどれもこれもが減少し、シワの要因となります。

真皮に存在する細胞

真皮には、コラーゲンなどの線維や基質の聞に、次の様な細胞が点在しています。

線維芽細胞

コラーゲン、エラスチン、ムコ多糖(ヒアル口ン酸など)を作り出す細胞。多様なホルモンがその活動に関わりあっています。

肥満細胞(マスト細胞)

アレルギーや炎症に関係する細胞。

組織球・形質細胞

ウイルスなどが進入した場合の免疫などに関与。

血管

真皮の浅層には毛細血管(細い血管)が集まり、上の表皮基底層に酸素と栄養を送り届けています。それによって、基底層においての活発な細胞分裂が行われているのです。
加齢にしたがって血の巡りが悪くなると、肌への血流が悪くなり、肌代謝が下がります。また、喫煙は毛細血管を閉める作用があるので、タバコを吸うくすみがちになっていくのです。

リンパ管

真皮の浅い辺りには細いリンパ管の集合しているところがあります。深いところへ行くに従ってだんだん太めなリンパ管となって、老廃物などを流しています。

神経

真皮には次のような神経が存在しています。

各種の感覚神経

痛み、触覚(触っている感じ)、温度などを知覚する神経。

自律神経

発汗をひき起こしたり、温度変化に応じて血管を収縮させる作用をもつ。


皮下組織

皮下組織の大部分は俗にいう皮下脂肪になります。
脂肪滴(貯蔵されている脂肪)を包んだ大型の脂肪細胞が分布し、イメージされているようにエネルギーの貯蔵庫であったりします。
皮下脂肪と聞くと美容の敵といった風なイメージがあると思いますが、外力から体を守るクッション効果や体温をキープする保温効力などのような役割も担います。具体的に言うと、手のひらや足の裏、お尻なんかには脂肪を持っており、歩行したり座ったりというような行動の時のクッションになっています。床の上を膝で歩くと痛みを伴いますけど、足の裏は痛みを感じないのは、頑丈な線維に覆われた厚い脂肪が存在することが理由です。
新生児期と思春期に、とりわけ脂肪組織は増加する傾向にあるといえます。

軸タンパク…プロテオグリカンの分子の軸になるタンパクのこと。
ムコ多糖…動物の粘性分泌物から得られる複合多種類の総称でグリコサミノグリガンともいう。
ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸がその代表。
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